こんにちは、米国株好きのけびん(@kevinbloglife)です。
Twitterでも時々話題にあがる「ピーター・リンチの株で勝つ」についてまとめました。
私の主な情報源は「じっちゃま」と「ジム・クレイマー」です。
アメリカの投資チャンネルCNBCで米国株について発信しているジム・クレイマーが自著以外ではじめに読む本として推奨しています。
ジム「わたしの自著を読んだらピーターリンチ本を読んでみてほしい!(英語タイトル;Peter Lynch's One up on Wall Street)」
Why not try my first book Real Money and then Stay Mad for Life and Peter Lynch's One up on Wall Street https://t.co/dhIGQcXK9A
— Jim Cramer (@jimcramer) June 23, 2020
相場が上昇局面の時にはテクニカル分析などが有効な「トレード」に有利な局面でしたが、調整局面ではそうもいきません。
じっくり「インベストメント」すべき局面でのバイブルがこの「ピーター・リンチの株で勝つ(One up on wall street)」です。
事例が多く一見読みにくい本書ですが、経験にもとづく情報が凝縮されており何度も読み返すべき一冊です。
私自身まだ完全に頭に入れられていませんが、骨子の部分は皆さんにもお伝えできればと思います。
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ピーターリンチ先生とは?

参照)フィデリティ証券
ピーター・リンチ先生は1944年生まれの伝説のファンドマネージャーです。
フィディリティ証券に入社後、マゼランファンドの運用を担当し、13年間で同ファンドの資産を2,000万ドルから140億ドル(700倍!!)へと世界最大規模へ育て上げた人物です。
ダウ平均が2倍にしかなっていなかったのに、マゼラン・ファンドは20倍を超える値上がりを見せたそうです。
ピーター・リンチ先生の投資方法はオーソドックスであり、すべての基礎になるものです。
つまり自分の信じるべき会社を丹念に発掘し、じっくり保有するというもの。
アマチュアの強みとは?株を始める前に知っておくべきこと
ピーター・リンチは、株を買う前にまず必要な3つのポイントを示しています。
まずクリアすべき3つのポイントは以下の通り。
- 資産価値のある家を持っているか
- お金が必要か(生活に支障ない資金で投資する)
- 株で成功する資質が備わっているか
ここで述べているピーター・リンチの格言を紹介します。
「家はよいものである。株ではある朝起きてみると大損していたということが避けられないが、住宅投資でそのようなことはまずありえない」
「万一失敗したとしても、将来的に見て毎日の生活に支障のない余裕資金の範囲で株式投資をすべきだ」
「人間の性格は、得てして相場のタイミングとずれがちである。意志の弱い投資家は、迷い、納得、あきらめ、という3つの感情の間を行き来して気持ちが揺れている。相場の下落や景気の落ち込みを心配するあまり、良い銘柄をバーゲン価格で買えるせっかくのチャンスを逃がし、その挙げ句、高値で買い込み、その後のちょっとした値上がりで満足してしまう。」

株式投資のポイント(抜粋)
詳しくは本文を読んでいただくと読み返すポイントが多数ありますが、以下がポイントです。
- 短期の株価の変動を無視しよう
- ありきたりの株で大儲けできる
- 経済を予想しようとしても無駄なことだ
- 株式市場の短期の方向性の予測はむなしい
- 株の長期投資収益はかなりの程度まで予測できる。債券投資の収益に勝る
- アマチュアは地元の企業に関してはプロに勝る
- 何か得意分野をとっかかりにすると株で儲けやすい
- 株式市場では確かな1銘柄はよくわからない10銘柄に絞る
有望株の探し方;株式の6つの分類
米国の株式では以下の6つの分類に分けられる、と作者は述べています。
1.低成長株
電力会社などのインフラ系をはじめとした年率2-4%程度の低成長銘柄のことです。
2.優良株
年率10-20%程度の成長が期待できる銘柄。
コカ・コーラ、P&G、ハーシー、ブリストル・マイヤーズなどを指します。
買うタイミング次第で2年に+50%とれれば最高であり、30-50%の儲けで利確して他へ移るべき銘柄でもあります。
3.急成長株
年率20-25%の成長を遂げ、うまくいけば株価が10倍から40倍になりそうな積極性のある小企業のこと。
ホテル業界のマリオット、百貨店業界のウォルマートのように、低成長産業でも急拡大するのが特徴的です。
小さな急成長会社には倒産のリスク、大きな急成長会社の業績停滞時には株価急落のリスクがあります。
4.市況関連株
市況関連株とは、売上と利益が循環的に上下する企業の株式のことです。
自動車、航空、タイヤ、鉄鋼、化学はすべて市況関連株。
不況を脱して活況気に入ると市況関連株は元気づき、株価も優良株を上回る勢いで上昇する。好況時には新車を買い、より多くの飛行機に乗り、鉄鋼や化学の需要も伸びるからです。
不況時には株価が半分になるのはあっという間であり、数年は反転を待たねばならなくなる。優良株と混同してはいけません。
5.業績回復株
業績回復株は、倒産リスクを持つ業績不振の淵から立ち直った無成長の株です。
うまくいった業績回復株はきわめて急速に失地を回復するし、相場とも一致しません。逆に市況が悪いときでも投資できる株ともいえるかもしれません。
政府に救済を求めたクライスラー、不調の親会社から独立したトイザらス、多悪化からタイヤ専業への回帰したグッドイヤーなどが挙げられます。
6.資産株
資産株とは、ウォール街の連中は見過ごしていてあなたは知っているというような何らかの資産を持っている会社のことです。
不動産、テレビ関連事業など、価値のある会社を知って持っておくことが大切です。

ピーター・リンチの完璧で素晴らしい株の選び方
投資対象の選別にあたって最も重要な13項目は以下のとおりです。
- 面白みのない、または馬鹿げている会社
- 変わり映えのしない業容
- 感心しない業種
- 分離独立した会社
- 機関投資家が保有せず、アナリストがフォローしない会社
- 悪い噂の出ている会社(マフィアとの繋がりの噂)
- 気の滅入る会社(葬儀屋など)
- 無成長産業であること(ニッチになりやすい)
- ニッチ産業であること
- 買い続けねばならない商品
- テクノロジーを使う側であること
- インサイダーたちが買う株
- 自社株買戻し
ピーターリンチが見ている特徴はわかりやすいですね。実際にうまく銘柄を選定できるかは別ですが。
競争の厳しい複雑な産業の中の優秀な経営陣を抱えた優良会社よりも、単純だが競争のない産業の中の平凡な経営陣を抱えた面白みのない会社を投資対象と見ています。
ピーターリンチが避ける株
超人気産業の中の超人気会社は避けるのが、ピーター・リンチの考え方の特徴です。
- 第2の〇〇に用心する
- 多悪化(多角化の失敗)を避ける
- 耳打ち株にはご用心
- 下請け会社には用心する
- 名前の良い会社に用心する
銘柄選定のためのチェックリスト
本記事では詳しく触れませんが、ピーターリンチは、アニュアルレポートの確認、業績や貸借対照表の数字の確認など基本的なことに対しても紙面を割いてくれています。
株式の6つの分類ごとに見るべきポイントも変わってくるとのことで、ポイントを以下の通り抜粋しました。

全般
- PERは高いか低いか。同業他社との比較においてはどうか。
- 機関投資家の持ち株比率はどうか。低ければ低いほどよい。
- インサイダーが買っているか、あるいはその会社自体が自社株の買戻しを行っているかどうか。両方とも良い兆候である。
- 今までの最高の利益はどれくらいか。利益の上昇は偶発的か、安定的か。
- その会社の貸借対照表は、負債資本比率から見て健全か。
- 流動資産比率はどうか。
1.低成長株
- 配当を得るのが目的なので、配当が常に支払われているか、増配が定期的に行われているか、入念に調べたい。
- 収益の何%が配当として支払われているか(配当性向)を確かめること。もし低い比率ならば、景気悪化にも耐えうる。
2.優良株
- 廃業に追い込まれる可能性が少ない大会社。PERを調べて割高かどうか確認すること。
- 将来、収益減を招くような多角化ならぬ多悪化の可能性の有無を調べる。
- 長期的な成長率と同じ業況を保っているかどうか調べる。
- 長期保有するつもりならば、過去の不況や市場の低迷をいかに乗り切ったかを調べること。
3.市況関連株
- 在庫と需給関係について注意深く見守ること。市場への新規参入がある場合は、不利な状況となるので注意。
- 景気回復にもかかわらず、PERが低下することも覚悟。利益がピークに達したときには、景気循環の最終期である。
- 身近な市況商品について知っているならば、市況関連業種についての理解に有利となる。
4.急成長株
- 会社に利益をもたらすとされる商品が主要商品であるかどうかを調べる必要がある。
- 最近の収益の成長率はどうなのか。20-25%が好ましく、50%以上の会社が最終的にどうなるかは要警戒
- 成功した事業を1つ以上の都市や町に拡大展開したとしたら、その戦略が有効かどうか考えてみる
- 株価が成長率にふさわしい水準になっているかどうか。
- 機関投資家の持ち株比率が小さく、アナリストもほとんど関心を寄せなかったような会社が急上昇しているならば有望である。
5.業績回復株
- 負債構成がどうなっていて、問題が起こった際に倒産する必要なく持ちこたえられるか。
- どのような方法で業績を回復させようとしているか
- そのビジネスが活気を取り戻しつつあるかどうか
- 経費の削減は行われているかどうか。
6.資産株
- 資産の価値はどれくらいか
- 資産から差し引かれる負債はどの程度あるか。
- 会社が新しい負債を抱え込んで資産価値を小さくしていないか。
ピーターリンチが考える株の本当の売り時はいつか?
投資パフォーマンスを上げていくには6つの分類ごとに異なる売り時を把握する必要があります。
景気サイクルに敏感なもの、会社の成長率に敏感なもの、など分類ごとに多様ですのでよく確認しておきましょう。
低成長株を売るとき
- 2年連続でマーケットシェアを落とし、新たに1つ広告会社を雇い入れた。
- 新製品の開発がなく、研究開発費を切り詰めている
- 業種の違う会社を買収したものの、ますます業績を悪化させている
- 買収のために多額の出資をしたために無借金状態から何百万ドルもの借金へと財務状況を悪化させてしまった会社
- 低株価にもかかわらず、配当利回りがない
優良株を売るとき
- 優良安定株は急速に値あがる要因はないため、PERが通常よりはるかに上がったら売ると良い
- 直近2年間に投入された商品の評価がまちまちで、次の新商品が市場に出るまで1年以上ある
- 成長率が鈍化しているが合理化で利益は維持している。将来の合理化効果にはもうそれほど期待できない会社。
- 利益の25%以上の主力が、経済指標に影響を受ける会社(住宅着工件数、石油採掘量など)
市況関連株を売るとき
- 製品の最終需要が減退している
- 旧工場を低コストで近代化せずに、設備投資予算を倍増して、立派な新工場を建てようとしている
- コスト削減の努力はしているものの、まだ外国製品との価格競争に太刀打ちできない。
急成長株の売りどき
急成長株では、成長率の減衰を見極めることが重要である。
- 最近の四半期業績で店の売り上げが3%落ちた。
- 新店舗の売り上げが芳しくなかった。
- 役員が2人、何人かの優秀な社員とともにライバル企業に移った
- 2週間に12の都市で説明会を開き、機関投資家相手に非常に強気な説明をしてきた
- 今後2年間、最も楽観的な予測でもPERが15~20倍のところ、30倍まで買われている。
業績回復株の売りどき
業績回復株の売り時は以下の通り。
業績が転換点を超えた時点で売るのが一番良い。
- 借入金が過去5回の四半期の間減少していたのに、直近では増加している。
- 在庫の増加率が売り上げの伸び率の2倍に達していた。
- 収益予想に対してPERが高すぎる
- 主要部門の資産高の50%ある特定の顧客向けで、その顧客自身が売上げ低下に悩まされている。
資産株を売るとき
資産株を売る方法は、乗っ取り屋を待つ、ということが最良の方法である。
- 株価が実態よりも低いが、多角化プログラムのための資金調達の目的で10%の増資を行うと発表。
- 2000万ドルで売却されると期待した部門が、実際には1200万ドルでしか売れなかった
- 法人税率の軽減のため、繰越税額控除の価値が減った
- 機関投資家の持ち株比率が、5年前の25%から60%まで上がった
ピーターリンチ本に関する米株村の口コミ
ピーターリンチの影響力は米株村でもかなりのもの。
以下のような名言や思考を残してくれています。
「アクティブ投資家もパッシブ投資家も米経済が今後も健全だというセオリー前提で投資している。それを信じられなくなったら米国株投資から手を引くべき」ピーター・リンチ、2019年12月20日のバロンズインタビューにて。全力米国株が直後のコロナショック乗り切れたのはこの記事のお陰、という面もある
— 全力米国株 (@komcdspxl) April 14, 2021
深い押し目を買いに行くピーターリンチと逆指値を浅く置くミネルヴィニの手法の違い。
どちらが優れているという事はない。
自分は長期銘柄は逆指値を入れずに押し目で買いに行くし、一方でSwingは逆指値を入れて短期でReturnを取りに行く。
InvestとTradeのStyleの違い。
自分の好きなように https://t.co/FIUr3AJKpI— スタっち (@investallion) March 6, 2021
「株式投資で利益を上げるのに必要な知能は誰もが持ち合わせている。だが誰もが肝が据わっているわけではない。慌てふためいて何もかも売却してしまうような性格ならば、株や株式投資信託はやめた方がよい」
知っている人も多いと思うけど、今日はこの言葉をとりあえず置いておきます( ^ω^)
— りおぽん東に西に (@riopon1028) December 21, 2020
多くの個人投資家がバイブル的に何度も読み込んでその基本に基づいて行動しているようですね。
まとめ;ピーターリンチ本は究極のバイブル
「「ピーターリンチの株で勝つ」は米国株式投資のバイブル!伝説のファンドマネジャーの思考を解説」というタイトルでまとめてきました。
個別株投資に関してここまでのバイブルは今のところ出会えていません。
個別銘柄の買い時、売り時を見極めるのに一家に一冊保有して活用していきましょう。