こんにちは、米国株投資好きののけびん(@kevinbloglife)です。
今回はTwitterでも話題の「ウォール街のランダムウォーカー」についてまとめました。

そんな方にまずはこの記事を読んでいただければと思います。
この本は、すでに150万部を超え、改定12版まで出版されているいわゆる投資の名著です。
投資をするならば必ず読むべき本のひとつと言えるでしょう。しかし辞書的ボリュームで非常に読みごたえがあります。

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著者:バートン・マルキールとは?
バートン・マルキールは、プリンストン大学の経済学博士号を取得した教授です。
現在は学者ですが、投資分析と資産運用のプロとして投資銀行に就職したのち、証券取引所の理事や著名な投信会社・バンガードグループの社外取締役としても活躍された方です。
アナリスト、エコノミスト、個人投資家、という様々な側面から金融市場に関わってきた方なのです。
ランダムウォークとは?
ランダム・ウォークというのは、「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向を予測することは不可能である」ということを意味する言葉です。
予測が難しい株式市場だからこそ、様々な分析手法から考察され結論が出ない論争がなされています。
また本書では「投機家」ではなく「投資家」へ向けたメッセージを送っています。
- 投機家:二、三日あるいは二、三週間の間に大儲けすることを狙って株式を取得する。
- 投資家:何年、あるいは何十年先まで安定的に配当をもたらし、あるいは持続的値上がりが期待できるような株式を探して保有する
そして投資家ならば、市場平均(S&P500)への投資を勧めています。なぜなら市場平均を上回る投資信託はまれだから、です。

ファンダメンタル派とテクニカル派とは?
株式投資の2大流派は、ファンダメンタル派とテクニカル派です。
ファンダメンタル派
著名な投資家のグレアムやウォーレン・バフェットはファンダメンタルを忠実に実践してきました。
「ファンダメンタル価値学派は、投資対象が普通株であれ不動産であれ、「ファンダメンタル(本質)価値」と呼ばれる絶対的な価値があり、それは現状分析と将来予測を注意深く行うことによって推定できる、と主張する。そして、資産の市場価格がこのファンダメンタル価値を下回れば購入し、上回れば売却するチャンスだと考える。」
砂上の楼閣学派
ケインズやモルゲンシュテルンらが支持した行動ファイナンス理論に基づくものです。
本質的な価値よりも市場参加者がどう考えているかを重視します。それをひと言で集約したものが以下の言葉。
「すべてのものの価値は、他人がそれに支払う値段によって決まる。」
モメンタム投資、テクニカル分析、という手法はこの言葉に基づくものですね。
市場の狂気;バブルとは?
この本では、歴史上の異常な投機ブームの歴史をまとめてくれています。いつの時代でも市場参加者はファンダメンタル理論を投げ捨て、砂上の楼閣を築いてしまいます。
本書で取り上げているバブルの歴史
- オランダのチューリップバブル
- イギリスの南海バブル
- 日本の株価・地価バブル
- インターネットバブル
- 仮想通貨バブル
どの事例も、途中までは利が乗っておいしい思いをした方が多かったのだと思います。市場は時としてファンダメンタルを無視した非常に不合理な動きに支配されるわけですね。
以下はその中でも一例。きれいなイナゴタワーが形成されていますね。
ここから得られる教訓は以下の通り。身に染みます。
「むしろ学ぶべきは、いずれのバブルに関しても市場はやはり自ら身を正したということなのだ。時間はかかり、それだけ犠牲は大きく膨らむものの、市場はやがてはすべての非合理的な歪みを修正したのだ。」
どんな高騰にも終わりがあるわけで、誘惑にいかに打ち勝つかが教訓です。
わたし自身も、本書でも触れた17年の仮想通貨バブルに参加し利が乗りまくったNEMを利確できなかったクチです。
「株式市場で金儲けをすることは、実際、それほど難しいことではない。むしろ難しいのは、短期間に手っ取り早くお金を儲けられそうな投機に、お金をつぎ込みたくなる誘惑を振り払うことのほうである。」
上記の言葉は何度も読み直したくなる言葉。儲かる投機に乗ったとしても誰よりも早く利確しなければ喰われます。頭と尻尾はくれてやれ、という考えですね。
株価分析手法;ファンダメンタル分析とは?
本書ではファンダメンタル分析もテクニカル分析も解説してくれていますが、テクニカル分析を断罪しています。著者は正しい価値を見いだして長期投資をしましょう、という主張なのでテクニカル分析は割愛しファンダメンタルについて記します。
証券アナリストは、株式の適正価値を推定するために4つの要因を重視します。
- 期待成長率
- 支払い配当額
- リスクの度合い
- 金利水準
株式評価4つのルールは以下の通りです。
- 合理的な投資家は、配当や利益の成長率が高ければ高いほど、株式に対して高い価格を支払うはずである。また非常に高い成長が見込まれる期間が長ければ長いほど、株式に対して高い価格を支払うはずである。
- 合理的な投資家は、他の事情が等しければ、企業の利益のうち現金配当ないしは自社株買戻しで株主に還元される割合が多ければ多いほど、高い株価をつけるはずである。
- 合理的な投資家は、他の事情が等しければ、その株式のリスクが低ければ低いほど、高い価格を支払うはずである。
- 投資家が合理的で他の事情が等しければ、金利水準が低ければ低いほど、株価は高くなる。

上記をふまえたうえで、株式投資で成功するための3つのルールは以下の通りです。
成功するための3つのルール
- 利益成長率が今後五年以上にわたって市場平均以上の銘柄を買うこと
- 株価がファンダメンタル価値以上になっている銘柄には手を出すな
- 投資家が「砂上の楼閣」を作れるようなストーリーが描ける銘柄を探そう
ついついリスクを取って勢いのある株(モメンタム株)に資金を入れたくなるわたし自身への自戒の言葉となるのは以下です。
「成長が期待でき、かつ低PERの銘柄を探そう。もし成長が実現したら、利益成長と株価収益率の上昇による二重のボーナスが得られるため、大きな利益をもたらすだろう。将来の成長がすでに織り込みずみの高PER株には気をつけよう。もし成長が実現しなければ、利益の減少と株価収益率の低下で二重の損失を被るからだ」
ポートフォリオの組み方:ファクターブレンド運用とは?
本書では基本的にはインデックス投資などを中心に推奨しています。
しかしポートフォリオを分散してお手製で組む場合にも言及しており、興味深い点がありました。
- 研究者が作成したPERが最も低い銘柄を組み入れたPFの年平均リターンは16%強で、最も高いPERのPFは7%弱となった
- 非常に長期で見るといわゆる「小型株」のリターンが「大型株」を上回る傾向が強い
- ごく短期間ではあるが、市場にはいわゆる「モメンタム」が存在することが確認されている
モメンタムというのは勢い、慣性あるいはトレンドのことで、株価が上昇した翌日も上昇が続く確率の方が、下落する確率よりもわずかに高いということです。
一方、より長期を取ると、今度はモメンタムではなくて「リバージョン」、すなわち平均への回帰性が認められる。株価が何カ月、あるいは何年も上昇トレンドをたどると、その後には相場に非常に大きな調整が起こるというものです。

ウォール街の資産運用ガイドライン
本書ではインデックス投資や信頼できるアクティブファンドへ投資することが基本として推奨しています。
手作り型、つまり個別株へ投資する際には以下の注意点を述べてくれています。
個別株へ投資する際のルール
- 少なくとも五年間は、一株当たり利益が平均を上回る成長を期待できる銘柄のみを購入すること
- 企業のファンダメンタル価値が正当化できる以上の値段を払って株式を買ってはならない
- 近い将来、「砂上の楼閣」作りが始まる土台となるような、確固たる成長見通しのある銘柄を購入するとよい
- なるべく売買の頻度を減らすべし
まとめ
今回けびん(@kevinbloglife)がウォール街のランダム・ウォーカーについて解説してきました。
学者らしく株式バブルの歴史に詳細に記す場面があれば、金融業に長く付き合ってきた経験から株式投資のルール・ガイドラインを示してくれました。
また今回は触れませんでしたが、個人投資家として保険・債券・年金など生活を守りながら長期投資する方法にもページを割いてくれています。総じて投資家にとってはバイブルとなる本だと感じます。
読み手ごとに新たな気づきがでてくる圧倒的な情報量。
ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
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